●スポヌケ
「寒蘭の栽培を始めて」 「潅水頻度と寒蘭の売買」 「チャボに魅せられて」 「色出し」
★スポヌケとは
ようやく伸びだした芽や、やっと伸びきろうとする新芽が根元から腐ってくる病気です。病気は年間を通じて
発生しますが、特に梅雨から初夏にかけての頃と秋口に多く見られます。夜間の温度が
25℃前後の頃が
要注意です。
病理学的にみると二通りのケースがあるそうです。
一つは軟腐病にかかっているケースです。この病気は酷い腐敗臭を放つのが特徴です。黒変したバルブを
手で押しつぶしてみると腐った野菜くずのようにドロドロしたような感じがします。細菌が出した強力な分解
酵素が細胞壁をとかしてしまった結果だと思います。
この病気の恐ろしさは伝染力が非常に強いという事です。
もう一つは土壌中にどこにでもみられる菌類に犯されて黒変腐敗しているケースです。東洋ランのスポヌケ
のほとんどは この病気に犯されたものだと考えられます。
軟腐病にかかっている場合は、急速に全株を犯すことが多く助かる確立は非常に低いといわれていますが、
この土壌菌に犯された物は悪臭もなく、発見が早ければ病患部を完全に取り除く事により、残りの株は
助かる可能性は十分にあります。
★原因と処置
軟腐病の場合は、感染している株は速やかに隔離するか焼却する方がいいと思います。
予防としては、ストレプトマイシン等の定期的散布が有効といわれていますが、日頃から丈夫なランの栽培
に心がけていれば心配はないでしょう。
次に土壌中の細菌の場合です。
土の中にはフザリュムやピシュウム等の土壌菌は、いっぱいあります。
それでもランが この病気にかからないのは、生理活性が盛んな状態では抵抗力が強く菌がとりつくすきが
ないからだと考えられます。何らかの原因で生理活性が衰えてきますと菌は組織の柔らかい新芽や、まだ
未完成な新子からとりついていきます。生理活性が衰えるのは、水や肥料のやりすぎ等で根に障害を
与えている事が多いようです。
また柔らかな新芽にキズがつき、キズ口から菌類が進入してスポヌケの原因になる事も考えられます。
強い風や雨、軒の雨だれでキズを作る事もありますし、暑い日中の水遣りも禁物です。
もう一つは今の時期に一番楽しみな出芽の状態を 指やピンセットでランの根元をほじくってキズをつけて
いませんか。
いろいろ書きましたがスポヌケを薬剤で予防するより私は「丈夫で勢いのよいランを作る事」これが何よりの
予防法だと思います。 (H.15.07)
H.18.04.19 「近況」から転記