●東洋蘭のウイルス 植物のウイルスの種類は世界中で約800種が知られていて、その中で日本では約200種が確認されている
そうです。それでは東洋蘭に感染するウイルスはどれくらいあるのでしょうか。
現在では次の4種類が確認されているようです。
(1)ORSV(オドントグロッサム・リングスポット・ウイルス)
このウイルスは感染してから症状が表れるまでの期間(潜伏期間)が長く、早いもので1ヶ月以上、普通は
半年から1年くらいかかります。
例えば秋の株分けの時に感染すれば翌年の夏頃の新葉の伸長期に発病してきます。時には翌々年の夏頃
に出てくる事もあります。葉や根が枯れても、その中のウィルスは半年〜1年くらい感染能力をもちつづける
非常に強い伝染力を持つウイルスですが、新芽の成長に影響を与えて作落ちは起こしても、株が枯死に
いたることはまずないようです。
病徴は基本的には葉の緑がうすくなって、白黄色ないし淡い緑白色の斑点(退緑班)が出ます。その形は
円形ではなく、条状か絣状ないしくさび状が普通です。
新葉によく表れますが、葉が生長してくると緑が濃くなってくることもあって、肉眼ではよく見えない不明瞭な
症状になります。またこのウイルスは壊疽斑点はでません。
春蘭などでチラといわれているものは、大体このウイルスのことです。
(2)CYMV(シンビジウム・モザイク・ウイルス)
このウイルスは、感染してから発病するまでの期間がORSVよりも短く、新芽の伸長期に感染したものは
大体1ヶ月で症状が出てきます。葉や根が枯れてしまっても1〜2ヶ月は感染能力があるようです。
葉や新芽に表れた症状は、ORSVよりも激しくでます。
病徴は新葉に白黄色ないし淡緑白色の、少し長形の退緑班が出てきて、それから明瞭なモザイク状になり
葉の裏または表にしばしば褐色の斑点が出てきます。日が経つにつれて退緑班は不明瞭になって黒褐色の
えそ斑点だけが残るようになります。
このウイルスにかかった蘭は一般に作落ちが激しくなるばかりでなく、時には新芽が枯れることがあります。
昔から「キララ」とか「テン」といわれているものは大体このウイルスです。
以上の二つが主なウイルスですが、いずれも肉眼で見て他の病気や、生理的または物理的障害による症状
との見分けが難しいものです。
次の二つのウイルスも時々見かけられているようです。
(3)OFV(ラン・えそ班紋ウイルス)
(4)CYMMV(シンビジウム・マイルドモザイク・ウイルス)
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